連隊の娘

 

作曲:ガエターノ・ドニゼッティ
台本:
J.H.ヴェルノワ・ドゥ・サン=ジョルジュとJ.F.A.ベイヤール
初演:
1840年2月11日、パリ、オペラ=コミック座

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第一幕

舞台はスイス、チロル地方の山中。ベルケンフィールド侯爵夫人と執事のオルタンシウスは、オーストリアに向かう旅の途中だが、この先にフランス軍がいるため足留めされていた。村人からフランス軍がようやく退却したと聞くと、侯爵夫人はフランス人の教養のなさについて語る(“Pour une femme de mon nom”)。オルタンシウスは、第21連隊のシュルピス軍曹に、侯爵夫人が安全に旅を続けられるよう頼む。一行に、連隊のマスコットであり、“娘”であるマリーが加わる。孤児だったマリーは、連隊に引き取られて育てられたのだった。シュルピスがマリーに、時に一緒にいる若い男は誰かと尋ねると、彼は地元の人間で、敵方ではあるけれど、以前に命を助けてもらったことがある、とマリーは話す。第21連隊は、たった今そのチロルの青年、トニオ捕らえたところだった。トニオはマリーを探していたと言う。マリーは両者の間に入ってトニオをかばう。そして彼が新しい友人たちに乾杯を捧げると、マリーは連隊の歌を歌う(“Chacun le sait”「連隊の歌」)。トニオは兵士たちについて行くよう命令されるが、こっそり戻ってきてマリーに愛を告白する。ふたりはその現場をシュルピスに見つかってしまう。マリーはトニオに、実は自分は連隊の兵士としか結婚できない身の上であると話す。

 

ベルケンフィールド侯爵夫人はシュルピス軍曹に城まで送ってもらいたいと頼む。ベルケンフィールドという名前を聞いて、シュルピスは、捨て子だった赤ん坊のマリーを見つけたときに、一緒に置かれていた手紙のことを思い出した。侯爵夫人は少女の父親を知っていると答え、実はマリーは、長い間行方がわからなくなっている、自分の妹の娘なのだと言う。その子は自分が預かっていたのだが、戦場で行方不明になってしまったのだった。がさつに育ったマリーに驚いた侯爵夫人は、姪を城へ連れて帰り、適切な教育を受けさせようと心に決める。トニオは、マリーと結婚できるよう連隊に入隊するが(“Ah, mes amis”「友よ」)、マリーは連隊にも愛する男性にも別れを告げなければならなくなる(“Il faut partir”「さようなら」)。

 

第二幕

侯爵夫人はマリーをクラッケントルプ公爵夫人の甥シピオンに嫁がせようとしている。シュルピスは、怪我を治すためにベルケンフィールド城に滞在しながら、夫人の計画に手を貸すことになっている。侯爵夫人は自らピアノを弾いて、マリーに歌のレッスンをする。シュルピスが入れ知恵して、マリーは連隊の歌のフレーズを挟み込むもので、侯爵夫人は怒ってしまう(“Le jour naissait dans la bocage”)。ひとりになったマリーは、金や地位の虚しさに思いを巡らす(“Par le rang et l’opulence”)。遠くに兵士が行進する音が聞こえたと思ったら、うれしいことに隊列は城に入ってきた。トニオ、マリー、シュルピスは再会を果たす。トニオはマリーの手を取り、きみこそ我が命と告白する(“Pour me rapprocher de Marie”)。しかし侯爵夫人は、姪は別の男性と婚約していると言って、トニオを追い払う。シュルピスとふたりきりになった侯爵夫人は真実を告白する。マリーは自分が産んだ私生児なのだが、体面が傷つくことを恐れて捨てたのだと言う。

 

婚礼の日、オルタンシウスが、クラッケントルプ公爵夫人を始めとする来賓の到着を告げるが、マリーは自分の部屋から出ようとしない。しかしシュルピスから侯爵夫人が実母であることを告げられると、マリーは驚きながらも母親の望みに背くことはできないと言って、愛していない男に嫁ぐことにする。結婚の証書に署名をしようとしたその時、トニオを先頭に第21連隊の兵士たちが自分たちの“娘”を救い出そうと乗り込んできた。招待客たちは、マリーが軍隊の賄い方をしていたと知って嫌悪感を顕わにするが、彼女が自分の生い立ちを語り、兵士たちには返し尽せないほどの恩があると語ると、みな考えを改める。侯爵夫人は深く感動し、マリーとトニオの結婚を許す。全員でフィナーレを歌う(“Salut à la France”)。